マスコミ的には、囲碁よりも将棋の方が目立っているのはなぜ?
囲碁も将棋も日本では定着していて、趣味としている人は多いようです。
また、ルールについては、囲碁のルールを知っている人よりも、将棋のルールを知っている人の方がずっと多いようです。
たとえば、会社の昼休みにやる対戦としては、囲碁よりも将棋の方がずっと多いように思います(将棋の方が早く決着が付きやすいという理由もあるでしょうが)。
しかし、調べてみて分かったのですが、碁会所と将棋道場では、碁会所の方が圧倒的に多いのだそうですね。
これはちょっと意外でした。
つまり、囲碁の方が、それだけ競技人口が多いということになります。
ところが、マスコミなどで取り上げられる回数としては、囲碁よりも将棋の方がずっと多いような気がします。
少なくとも、表面的には将棋の方が人気があるように見えます。
その理由は何なのでしょうか。
そもそも自分は将棋しか指さず、囲碁はルールが分かる程度なので、将棋ファン目線に偏った意見かもしれません。
お含み置きください。
たしかに碁会所が沢山あるのに対して、将棋道場みたいなのは、激減しています。
しかし、そういう所に通うのは、日本の人口からしたら、ごく一部の人です。
マスコミはそういう一部の人向けよりも、大多数の人に向けて放送します。
相撲で例えれば、全国に土俵がいくつあるか知りませんが、たぶんあんまりないし、そこで相撲を取る人なんて限られているでしょう。
しかし、大相撲は全場所中継され、誰が優勝したかは全国ニュースで必ず放送されます。
一方、ママさんバレーなど、バレーボールをやっている人口はかなり多いと思いますが、
ママさん達の試合なんて地上波ではまず放送されません。
結果すら地上波のニュースでは流れません。
プロの女子バレーもワールドカップとかオリンピックとかは中継放送されますけどね。
競技人口の多さと、その競技のプロの試合に興味のある人の多さは必ずしも一致しないというのが、この例でも分かると思います。
囲碁よりは将棋に興味のある人が多いと考えられているから、将棋の報道が多い、これだけの理由だと思います。
ただ、先ほどの例と違い、おそらく将棋の方が囲碁より競技人口においても多いです。
碁会所に通うようなコアのファンだけでなく、たとえば、正月に親戚が集まった時に遊ぶくらいというものまで含めるならですが。
囲碁は実際にゲームが出来るようになるまでのハードルが高く、実際にプレイしたことのある人も将棋に比べるとかなり少ないと思います。
将棋は玉を詰ましたら勝ちというルールが、視覚的に分かりやすく、ルールがよく分かっていなくても、なんとなく、どちらが有利か分かります。
(それが正確な判断かどうかは別にして)玉というのが、駒としてはっきり形になっているからだと思います。
だから、ルールを知らない子供でも、他人の対局を何度か見ているうちに、なんとなくルールや目的を理解できます。
あとは、駒の動きを教えてあげたら(動きが書いてある紙を見ながらでも)実際にプレイもすぐに出来ます。
囲碁は、石字体は、黒白はっきりしていますが、最終目的は、石を沢山置く事ではなくて、陣地が広い方です。
これが分かりづらい。
(石が多い方が勝ちのオセロは子供でもすぐに覚えます)。
終局になっても、差が微妙だと広いか狭いか数えなくては分かりませんし、序盤から中盤だと、どこがどちらの陣地になっているのかはっきりしません。
他人の対局を見ただけで、ルールや目的を理解できる子供は、滅多にいないと思います。
ルールを説明しても、ゲーム開始直後から、何をしていいやら途方に暮れることもあるだろうし、いつ終局になったのやらわからず、打ち続けているうちに、生きていた石が死んでしまったなんてことも起きます。
とにかく、囲碁の面白さが分かるまでのハードルが高いように思います。
ここから余談です。
碁会所と将棋道場ですけれど、20~30年前、すでに経営難で閉鎖される将棋道場が相次いでいた頃ですが、碁会所と将棋道場では明らかに年齢層が違いました。
碁会所には休日でも、ほとんど若者がおらず60代以上(定年退職後の方)が大半だったのに対して、将棋道場は比較的若い世代も多かったです。
たぶん平日なら、碁会所はそれなりに客がいても、将棋道場は閑古鳥が鳴いていたところが多いのではないでしょうか。
なんで、年齢層に差が出るのか。
ひとつには囲碁は1局に時間がかかりがちなので、時間に余裕がないと楽しめないのかもしれません。
現役世代はなかなか時間のゆとりがなくて、短時間での対局も可能な将棋の方が人気だったのかもしれません。
でもそれだけでもないんですよね。
将棋をやめて囲碁に移った人の中に、「将棋は血圧に悪いから」という方がいらっしゃいました。
体質にもよるでしょうが、たしかに将棋は、血圧が上がりやすいんですよ。
将棋は「最後に悪手を指した方が負ける」と言われるような逆転のゲームで、一つの悪手で形勢が逆転します。
そのスリルが将棋の醍醐味なのですが、ただ優勢と思っていた将棋を悪くすると、一気に血圧が上がり、頭に血が上るのを感じることがあります。
早くから劣勢だったりずっと形勢不明の将棋だと、いよいよ負けそうになっても、あまり体の変化は感じません。
囲碁は、将棋に比べれば逆転は少ないゲームですからマシなのじゃないでしょうか。
高血圧を気にして将棋をやめたりする方も案外いらっしゃるのかもしれません。
囲碁のほうが面白さが分かるのに時間がかかり、面白くなると自由度が高い分、依存性が高いので、辞めにくい。
将棋はその逆で、覚えるとすぐに楽しく遊べるが、戦法などが固定しやすく自由度が低く飽きが来やすい。
その分依存性は囲碁に劣る。
だから囲碁ファンはマニアックな人が多く、強い人が中心で、囲碁クラブが将棋クラブより存続できる。
将棋は弱い人でもマニアックになりやすいが、そういう人はクラブにはいかない。
囲碁と将棋では、将棋の方が競技人口は多いです。
ネットの検索数でも将棋の方が6倍くらい多いです。
囲碁は難しいためできる人は少ないです。
将棋の方がわかりやすいのでできる人が多いんです。
だから将棋をテーマにしたニュースの方が読者も興味を持つんですよ。
難しくてわからない囲碁はなかなか人を集められません。
人を集められないから囲碁はマスコミに取り上げられません。
競技人口では圧倒的に将棋の方が上ですが、面白さで言えば囲碁の方が圧倒的に上なんです。
だから競技人口では少なくても【碁会所】の方が圧倒的に多いんです。
囲碁と将棋、両方できる人はほとんどの場合、囲碁を選びます。