シャープは21日からマスク発売を開始したが、同社のネット通販サイト「シャープ ココロストア」が発売開始の同日午前10時からほぼ一日接続しにくい状態が続いた。アクセスが極度に集中したためとみられ、マスク販売サイトは21日午後も混雑が続き、販売枚数が集計できていない。
同社のネットにつないで操作するエアコンなどの「IoT製品」で一部で機能が使えなくなる予想外の影響が出てしまった。
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全国的にマスク不足が叫ばれる中でのシャープのマスク生産参入
感染の懸念が高まるなか、東京では2月初旬からドラッグストアでマスクが入手しにくくなった。
私の近所の小売店では購入量に制限を設けているが、それでも毎朝開店前に長い行列ができている。今はもちろん品切れ状態。
安倍首相は、3月5日に月6億枚以上の供給を確保していると言明したが、それから1カ月以上経ってもマスクの入手困難は解消しない。
私自身も1月以降一度もマスクを買っておらず、インフルエンザ流行に備えて買っておいた使い捨てマスクを消毒して繰り返し使うことでなんとか間に合わせている。
いったい、このマスク不足はいつになったら解消するのだろうか。
この状態がマスクとは本来関係のない企業まで影響がでてる、今回のシャープマスクは日本政府からの要請を受け、2月28日に液晶パネルを生産する三重工場(多気)のクリーンルームで生産することを決定。
設備を整えて、3月24日から生産を開始し、3月31日から日本政府向けに出荷を開始していた。今回、個人ユーザー向けの販売体制が整ったことで販売を開始した。
アクセスは予想を遙かに超えた
COCORO MEMBERSのサイトでは、昨日(20日)時点で、「アクセス集中により、WEBページの表示が遅くなったり、正しく表示できないことがあります。」という注意ページを掲載しており、あわせてアクセス負荷軽減のための緊急対応として、一部の紹介用画像を非表示するなどの対策も行なっていたが、アクセスはその予想を遙かに超えたようだ。
朝からチャレンジしてたけど結局買えなかった人も大勢いたはず。
どんなマスク?
素材は布製の「アベノマスク」とは異なる一般的な使い捨てマスクと同じ不織布を用いている。
三重工場で生産した不織布マスクの下部には、「SHARP」のロゴが入っており、ロゴを外側にして装着するかたちになる。
マスクにロゴが入っているのはめずらしい。
本体サイズは、約95mm×175mm。本体およびフィルタ(不織布)にはポリプロピレン、耳ひも部は、ポリウレタンとポリエステル、ナイロン、ノーズフィッターはポリエチレンを使用している。
もちろん、1人1箱限定で、買い占めや転売を防ぐため、1回購入すると3日間は申し込めず、注文後は2~7日で届く。
立体三重構造で、花粉よりもさらに小さい生体ウイルスや微粒子からもしっかりガードし、風邪などのさいにも他人への感染を防止する。
VFE試験やPFE試験でも、ウイルス飛沫や微粒子を99%以上カットする結果を確認している。
高密度フィルタの採用により、PM2.5や花粉の対策としても利用できる(同社)としている。
同社によると、当初は1日に3,000箱(15万枚)を生産しているが、今後、生産能力を増強して、日産10,000箱(日産50万枚)に拡大する計画だ。
マスク不足はいつになったら解消するの?
そもそも、マスク不足はなぜ起きたのか。
2018年度の場合、1年間に55億枚のマスクが供給され、うち国内生産が2割、輸入が8割であった。輸入の86%は中国からである。
日本でマスク不足が始まったのは2月初旬だが、その時点での新型コロナウイルスへの感染者数はまだ30人以下だった。
けれど、人々がマスクを買い求めたのは感染を恐れたというより、「中国で感染拡大によってマスク需要が高まるため、日本への輸出が減るのではないか。だとしたら、買えるうちに買っておこう」という心理が働いたようである。
マスク不足と同時にトイレットペーパーの不足が起きたのもそうした心理によるものであった。
ただし、トイレットペーパーについて言えば、もともと国内生産で需要の97%が賄われているので、人々の心配は誤解に終わった。
それに対して、不織布マスク(ドラッグストアで売られている使い捨てのマスク)の場合、供給の8割を輸入に頼っており、しかもその9割近くが中国からの輸入なので、中国でマスク需要が高まれば日本への輸出が減ってマスクが入手しにくくなる、というのは現実的にありえる話です。
国内での生産拡大を進めていくことが必要になってくる
世界のマスク需要はこれからも増えていく、新型コロナウイルスへの感染は今やヨーロッパ、アメリカ、南米、さらにアフリカへと広がっており、世界でのマスク需要は今後さらに拡大していくでしょう。
中国のマスク生産能力が大幅に拡大したものの、世界のマスク需要はそれ以上に増え、中国産マスクの奪い合いになる可能性が高い。
従って今回のシャープマスクのように、日本が今後マスクの供給を確保するには国内での生産拡大を進めていくことが必要になってくる。
経済産業省は2月末からマスクの生産設備を導入する企業に対して補助金を出す政策を開始した。
3月下旬までに13社の企業が補助金を受け、不織布マスク月産6760万枚分の生産能力が増える見通しとなった。
それでも、日本でのマスク需要は目下月間9億枚ぐらいに増えていると思われるので、月産7000万枚足らずの増産ではまだ全国民がマスクが買えない日が続く。
マスクの値上がりはさけられない
マスクの不足はマスクの適正な値上げを通じて解決されると思うのも時間の問題だろう。
もしマスクの値段が上がればマスクメーカーは増産意欲を高めて供給を増やすし、これまで余分にマスクを買い込んでいた人はマスクを買い控えるので需要は減り、需給の均衡に向かうはずである。
マスクの不足を根本的に解消するには生産を拡大することが必要であり、そのためには価格上昇という刺激が有効である。
実際、中国でも、一方では政府がマスクを固定価格で買い上げて医療機関など必要なところに回したりしたが、他方では不織布の価格上昇によって供給拡大が刺激された。
つまり政府の介入と市場メカニズムという両輪を通じてマスクの供給不足が解消へ向かったのだ。