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ヒカルの碁の実写化に期待している

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ヒカルの碁とは?

【ヒカルの碁】は原作・ほったゆみ、漫画・小畑健、監修・梅沢由香里さんによって1999年から2003年まで週刊少年ジャンプに掲載された囲碁を題材にした漫画です。

コミックは全23巻まで販売されていて(完全版もでてます)、中国や韓国、アメリカ、シンガポールなど数多くの国で翻訳されたコミックの販売やアニメの放送がされました。

ナイン
ナイン
累計発行部数2500万部となり、小学館が主催している小学館漫画賞や朝日新聞社主催の手塚治虫文化賞の中で、画期的なテーマ・才能を示した作品に贈られる新生賞の受賞などをしています

最強棋士・藤原佐為の作品内での役割は何だったのか?主人公ヒカル達が物語で目指したものとは?

小学生のヒカルはある日偶然、祖父の家の蔵で古い碁盤を見つけた。

碁盤に残る何か血のようなのしみ・・・。

それを見つけた瞬間、誰とも知れぬ人の声が聞こえる。

その声は碁盤に宿っていた平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい)の霊がヒカルの意識に入りこみ、語りかけてきたものだった。

頭を使う事が嫌いなヒカルは囲碁にはあまり興味はありません。

ですが、この藤原佐為(ふじわらのさい)との出会いによって、碁盤を見つけたヒカルに憑くのです。

初めは囲碁を打ちたいと訴える佐為の熱意に負け、佐為に言われるままに打っていたヒカルですが、「塔矢アキラ」という同年代のライバルが現れたことで、自分の力で勝利を掴みたくなり、囲碁に打ち込むようになります。

このシーンはヒカルがただの子供だと思って対局したら負けてしまった場面。

小学6年生にしてプロと同等の力を持つ塔矢アキラだったが・・・

相手が悪かった、藤原佐為はその塔矢アキラを遥かに凌駕する実力を持っていた。

囲碁歴千年の藤原佐為は最強。

 

ヒカルの体を使って勝負をした佐為に負け、彼を唯一のライバルと思うようになる

「キミのことばかり考えている」

「キミのことを待っている」

ヒカルと対戦するために中学の囲碁部に入部し、大会では大将として出場することが決まっていたのにもかかわらず、ヒカルが三将のため自分の退部を条件に三将として出場するなどして追いかけますが、強いヒカル(佐為が打っている)と弱いヒカル(ヒカル自身が打っている)のギャプに戸惑います・・・。

どうしてもヒカルと戦いたい塔矢は、顧問の先生に頭を下げてまで三将に変えてもらうというすさまじい執念を見せています。

イジメにあってもヒカルを追いかける執念。

そして・・・。

「藤原佐為の力を借りて碁を打つのではなく、自分の力で打ちたい」と思うようになったヒカルの本当の実力を知り動揺して怒る塔矢アキラ→物語は加速していきます。

一度ヒカルの元から姿を消します。

これがヒカルの碁の面白いところで。

最初は塔矢がヒカル(の中の佐為)を追いかけて、次は進藤が自分の力で塔矢を追いかけ始めるんです。

 

ネットにハマるヒカル

ナイン
ナイン
saiという名で佐為にネット碁を打たせ始めたことで事態は動き始めます

佐為の鬼のような強さから、「ネット碁にsaiという強いやつがいる」と囲碁界で話題になり始め、塔矢もsaiと対局することになったのです。

saiの正体が出会った頃の進藤だと確信した塔矢アキラ

中学校での対局を機に、もう進藤への興味はなくなったかに見えた塔矢だが。

進藤がsaiという名で佐為にネット碁を打たせ始めたことで事態は動き始めます。

進藤のことを知るために興味のない院生の家庭教師をする塔矢アキラ

結局saiの正体が進藤だと決定的な証拠のないまま物語は進みます。

塔矢はプロになり、ヒカルもあとを追ってプロ試験を受け院生になります

 

院生とは?

棋士を目指す子どもたちが「院生」になる。

「院生」になるメリットとしては以下の2つです。

・棋士採用試験で「外来(*)」よりも予選の回数などが優遇される。

・棋士を目指す同じ境遇の子どもたちと切磋琢磨する場に参加できる。

(*)院生ではない人が棋士採用試験を受ける場合、外来と呼ぶ。

諸事情(年齢制限、進学など)で院生を退会した人がプロ試験を受ける場合も外来扱いとなる。

ナイン
ナイン
純粋に棋士を目指す場合、「院生」にならない理由はあまりないです
相方君
相方君
前者の即物的なメリットもそうだが、後者の「環境」がやはり精神や心構えを醸成するのが一番の理由だね

院生になるには?

年4回実施される院生試験というものを受ける。

これは棋譜審査(書類審査の位置づけ)+院生師範による試験碁(面接の位置づけ)と年齢などを加味して総合的に判断される。

おおよそ、小6でアマ6段くらいが目安で、1年前後する毎に1子ずつずれていくイメージ(中1は7段、小5は5段・・・)

院生の仕組み

月に計5日間、毎週日曜日と第2土曜日が院生手合の日である。

おおよそA~Dクラス(院生在籍者の数によってはE、Fクラスが存在した時期もある)で各クラス12名で構成され、各クラスの上位4名と下位4名がクラスを入れ替わる。

各クラスで総当たり戦を行うため、5日間で11局を消化する。(第2土曜日のみ3局打つ)

まず、毎月の院生手合で上位4名に入ることが目標になるだろう。

また、年1回の棋士採用試験では、Aクラス8位までが本戦シード、Bクラス12位までが予選参加資格が与えられるため、Bクラス入りすることがプロ入りの最低条件である。

棋士採用試験本選

毎週土、日、火曜日に対局が組まれる。

本戦参加者はおおよそ30名前後に達し、2か月以上の長丁場である。

肉体的、精神的な安定が必須であり、通常の力をいかに発揮できるかが最重要。

本人もさることながら、周囲のサポートも必要になってくる。

佐為が消えてしまったショックから囲碁が打てなくなるという大変な事態に

佐為はどうして消えたのか?

佐為は天皇の指南役をしていたころに、同じ指南役である菅原顕忠と天皇の前で対戦をすることになります。

そのときに、不正をした顕忠を注意しようとしますが、それに気が付いた顕忠が先に口を開き、佐為が不正をしたと怒鳴るのです。

反対に佐為が不正をしたかのように叩かれ、都を追い出されてしまいます。

その後、入水自殺をした佐為は成仏できず、江戸時代で本因坊秀策に憑き思う存分囲碁を楽しんでいたのですが、本因坊秀策は流行り病で急死。

佐為は本因坊秀策の碁盤に宿りおよそ140年の時を経てヒカルと出会う事になるのです。

こうして佐為は神の一手を極めるために碁を打ち続けますが、実力に見合う人物は現代では名人である塔矢行洋だけ。

佐為は何とかネット碁で名人と対戦できる機会を得て、攻防の末に名人に勝つことが出来ました。

塔矢行洋はアキラの父であり、囲碁界の王者でもある

結果はsaiに負けを見越した塔矢行洋が、投了し終了。

負けたら囲碁界を引退するという発言通りに引退を発表しました。

ヒカルは引退を反対しましたが、プロでなくても囲碁は出来ると正式に引退発表をした潔い人物です。

誰が見ても素晴らしい一局だったのですが、後日ヒカルは佐為と名人の対局で佐為も名人思いつかなかった「手」を思いつくのです。

佐為が囲碁の面で誰かに後れを取ったのは、このインターネット上での塔矢行洋との頂上決戦に勝利したおり、その碁では行洋に失着があり、それがなければ実は佐為が負けていたとヒカルに指摘されたときだけだ。

それは名人が形勢逆転できる手でした。

佐為や名人、そして見ていた観客らの誰もが思いつかなかったその逆転の手に気が付いたヒカルを見て佐為は自分の使命に気が付きます。

佐為は、自らの存在意義が名人と自分の対決を見せることにあった、ヒカルにその一手を気が付かせるために自分は成仏できなかったのだと悟りました。

そしてその通りに佐為はヒカルとまだ一緒に居たいと思いながらも、成仏することになるのです。

これを契機に佐為はヒカルの意識から消えてしまう。

神の一手を極めるのは自分ではなく、その役割はヒカルに託されたことを知ったからだ。

佐為が消えてしまった(成仏)してしまったあとのヒカル

佐為が消えた理由をヒカルが知らない→佐為を探しに広島へ→佐為の気持ちを分かってやれなかったことに涙するヒカル、という流れになり。

我々読者はヒカルより先に佐為が消えたことを知っているので「あー佐為は消えてしまったんだ」というやりきれなさを感じながらも佐為がいるはずもない広島へ行ったりと空回りするヒカルを第三者の目で見つめているわけです。

言わば「ヒカルの広島の旅」の部分は読者のための受容期間なのではないでしょうか。

佐為の伝えたかった感謝の気持ちは言葉こそ発しませんでしたが、ヒカルの見た夢でちゃんと伝わっていると思います。

今までずっと同じ意識の中にいたので、意識の断片として夢に現れてもおかしくない、という論理なんでしょうか。

佐為が消え、自分の力だけを頼りに棋士の高みへと歩き出したヒカル

ヒカルは伊角との対局によって、自分の碁の中に佐為が存在していた事に気付き、これからもずっと、アキラと共に碁を続ける事を決意します。

そして、ついにヒカルとアキラの対局が実現します。

アキラは、ヒカルの碁の中に、確かに、佐為を感じたのです。

そして、ついに彼も、長い間追いつづけてきたヒカルと佐為の
謎に結論を出すのです。

「ヒカルの中に二人いる…出会った頃のヒカル(佐為)と今のヒカルが。」また、アキラは「君の打つ碁が君のすべてだ」

とヒカルに告げ、ついにありのままのヒカルを受け入れてくれたのです。

そしてアキラは、ヒカルはやはり自分の終生のライバルだと感じるのです。

また新たなスタートを切った二人。そしてヒカルの夢の中には、あのなつかしい、穏やかな笑顔の佐為が現れます。

佐為がヒカルに自分の扇を渡したのは、これからはヒカルが自分に代わって神の一手を追求していってほしいという事を暗示しているのだと思いました。

アキラとヒカルの対局の結果は、あれでよかったんだと思います。

自分の中に消えた佐為の存在を感じ再び囲碁の世界へ戻る

ヒカルが立ち直る切っ掛けを与えた伊角慎一郎

登場時は地味なモブ顔であったが、なぜか人気が上がり、それに応じてどんどんイケメンに。

第二回人気投票では、佐為を抑えて1位に輝いた経歴も。

その人気から、彼に焦点を当てたエピソードも描かれた

プロ試験で不合格となった後は院生を早々に辞めたが、中国棋院に渡る機会を得て、そこでプロ棋士の楊海から指導を受けて自身のメンタル面の弱さを克服する。

帰国中にヒカルが(佐為が消えたショックで)不戦敗を繰り返していたことを知り、帰国後和谷に相談したが、明確な理由は判らなかったため彼の家に訪問した。

以前、プロ試験本戦で起きた反則負けを払拭するために対局し、ヒカルが立ち直る切っ掛けを与えた。

その後のプロ試験ではトップの成績で合格となり、門脇、本田と共にプロ入りを果たした。

そんな人気投票においてダントツのトップを取った伊角慎一郎。

私も大好きなキャラです。

囲碁への想いも佐為の碁もヒカルは受け継ぐ。ヒカルの夢の中で佐為は黙って扇を託す。

佐為がヒカルに自分の扇を渡したのは、これからはヒカルが自分に代わって神の一手を追求していってほしいという事を暗示しているのだと思いました。

突然のヒカルの出現に驚くアキラ

佐為が消えて落ち込んでいたヒカルがついに始動を開始しました。

気持ちの変化がおきたのです。

どうしてそうなったのかというと、依然佐為は戻ってこないんですが、碁を打つことが佐為と自分をつなぐことだと気づいたわけです。

ヒカルは連勝を続けます。

そして、いよいよ塔矢アキラと対決するのです。

この闘いは囲碁界の新しいうねりとして囲碁界を震撼させます。

結局ヒカルは塔矢に負けるのですが、本人もさっぱりしていますし、私たち読者もさっぱりします。

つまりこれからヒカルの成長は進んでいくのです。

韓国代表・中国代表も出揃い、各国とも臨戦態勢モードに突入

「本因坊秀策など敵じゃない」との発言にヒカルが激怒

韓国戦で大将を任されたヒカルは、韓国の大将・高永夏と激突。

アキラ、社も闘志を剥き出しにした打ち回しをみせる。

緊迫の日韓戦が始まる。

若き猛勇の棋士達が、意地と才能をぶつけ合う怒濤の展開に。

最終回は北斗杯という国際大会の大将戦

結果から言うとヒカルは韓国の高永夏(コヨンハ)に半目差で負けます。

そして、高永夏はヒカルの実力を認め、「碁を打つ理由を聞かせろよ」と問いかけます。

ヒカルは「遠い過去と遠い未来をつなげるため」と泣きながら答えました。

これに対し、高永夏は「オレ達は皆そうだろ」と言い残します。

また、中国の楊海(ヤンハイ)は

「青くさいガキのセリフさ」

「遠い過去と遠い未来をつなげる?」

「そんなの今生きてるヤツ誰だってそうだろ」

「棋士も囲碁も関係ナシ 国も何もかも関係ナシ」

「なぜ碁を打つのかも なぜ生きているのかも一緒じゃないか」

と言います。

少年漫画らしくない最後

少年漫画らしく最後は勝利&笑顔で終わってほしい気持ちはよくわかります。

しかし、私は敗北END自体は悪くないと思っています。

少年漫画で主人公が勝負に負けて終わるというストーリーは珍しいのかもしれません。

そもそも、現実は理想通りにいくとは限りませんし、むしろ上手くいかないことのほうが多いかもしれません。

ヒカルが勝って、日本代表が優勝するというエンディングではありませんでしたが、意義のある勝負だったと思います。

ヒカルが碁を打つ意味、それは「遠い過去と遠い未来をつなげるため」でした。

この言葉を発したあとに、負けたことが悔しい、とヒカルは涙を流します。

このヒカルの涙は、これからのヒカルの人生の意義、そして、いなくなった佐為への思いも含まれていると思いました。

まとめ

結局ヒカルは佐為と再会できていませんし、高永夏にも負けたままで物語は終わってしまいます。

しかし、だからこそ、たくさんの未来の可能性を私たちに見せてくれてもいます。

読者は自分の頭のなかで、未来の彼らの姿を想像することができるのです。

ヒカルはもう佐為と会えないままかもしれませんし、神の一手に近づけないかもしれません。

けれども遠い未来、誰かが神の一手を打つかもしれません。

1人の棋士の人生が終わっても、棋士という存在がある限り、未来はつながっていくのです。