天竜人=世界貴族の最高位にして、世界政府最高権力である5人の老爺達。
基本的にいつも5人で登場し、
世界政府の本拠地たる聖地マリージョアのパンゲア城内「権力の間」において、
世界情勢に関する議論を行い、合議による意思決定をして、
サイファーポールや海軍に命令を下す。
そのため、海軍本部元帥であるセンゴク(2年前)やサカズキも、
彼らの前では単なる中間管理職に過ぎない。
但し、他の天竜人の共通点である「宇宙服に似た独特の装束」「髪型」「口調」などはなく、作中世界における庶民の一般的な服装であるスーツや着物といった衣服、
顔の傷跡、鍛え上げられた肉体、刀などの装備、
醜悪な人相に描かれる一般の天竜人男性に比べて権力者らしい威厳のある人相、
更には奴隷を一切引き連れず、
非情ながら権力に溺れず理性的・明晰な頭脳を有している事、
マリージョアから出て地上で行動する際も上記の装束や地上の空気を吸わない為の専用マスクなどを着用せずスーツや着物姿のままである事から、
一見すると彼らも「叩き上げ」の様に見える。
(一方で、やはり彼らも天竜人である以上、天竜人にとっての『義務』である下記の基本概念は持っている)
世界貴族の最高位に位置しているものの、
彼らが生粋の世界貴族なのか、
どのような経緯で世界政府の頂点にまで至ったのか、詳細は不明である。
その地位の高さは別格であり、海軍内部でも准将以下の階級では姿を見ることすら許されず、偶然にでも姿を見れば即座に抹殺される。
一般人は肖像画でしかその顔を見ることがないらしい。
「空白の100年」に関することを少なからず知っており、
かつてその歴史を知りすぎたオハラに対してバスターコールを発令し、
殲滅作戦の命令を下した。
これ以外にも、「世界の均衡を守るためには過激な手段も止むを得ない」という冷酷な思想と、「人間の命など“虫”だと思え、仮に減ったとしても再び繁殖する」という天竜人にとっての基本概念は全員が共有しており、
「世界政府の下での均衡・平和」のためなら綺麗事に拘ることはないという、
ある種の非情さを見せている。
「D」についても何かを知っており、今なお世界を騒がせるルフィ、
歴史上初めて悪魔の実を2つ食べたティーチなどを筆頭に、
頂上戦争でその名が人目につきすぎたことを警戒していた。
普段は冷静だが、四皇については動向を警戒しており、
白ひげとシャンクスとの目的不明の接触に際しては顔色を変えていた。
ただし、当のシャンクスについては「暴れさせればこそ手に負えんが、自分から世界をどうしようという男でもない」と一定の評価をしている。
構成員
顔ぶれは少なくとも38年以上前から変わっていない。
全員かなり長身であり、2mを超えるロブ・ルッチと並んでも彼を軽く上回る程である。
原作233話で初登場した彼らだが長い間(ジャンプ掲載基準で21年近く)
その本名は明かされることがなかった(WT100などの人気投票ではA~Eのアルファベットでエントリーされていた)が、
1073話のエッグヘッド編にてジェイガルシア・サターン聖の名前が明かされ、1086話にて残りのメンバーの名前も明かされた。
ちなみに、5人の名前にはそれぞれ太陽系の5つの惑星(水星、金星、火星、木星、土星)をもじったものが採用されている。
5人にはそれぞれ「○○武神(ぶしん)」という肩書きが与えられており、
例えるならば日本の内閣の各省大臣が如く、
世界政府の様々な制度・政策等に関する事項を(同様に合議制で)分担管理しているようである。
過去
22年前、クローバー博士ら歴史学者達が「空白の100年」の真実に辿り着きかけていたことから、ニコ・ロビンの故郷オハラに対してバスターコールを発令。
「ロビンの師である博士への銃撃を実行させる」「オハラへの砲撃命令を下す」など、
ロビンにバスターコールに対する強烈なトラウマを植え付けた原因となった。
サバイバルの海 超新星編
マリージョアにて、赤髪海賊団と白ひげ海賊団とが使者を介して接触を図ったという報告を受けるが、赤髪の性格上大きな戦いは勃発しないと判断した。
そして、サー・クロコダイルが抜けたことで発生した王下七武海の穴を一刻も早く埋めるよう海軍に通達した。
麦わらの一味によってエニエス・ロビーが陥落してから3日が過ぎた頃、
問題ないと見ていた赤髪と白ひげが直接接触をしてしまったことに一時焦るが、
特に大きな問題にはならなかった。
(しかしバナロ島の決闘が発生、頂上戦争の引き金になった)
マリンフォード頂上戦争が終結した後はインペルダウンLEVEL6の惨劇を世界には公表しないよう海軍に伝え、
その後、荒れる世界情勢について議論していた。
最後の海 新世界編
ドレスローザ編
物語の舞台が2年後に移行しても誰1人欠けることなく、
そして容姿も変わらぬまま登場。
サイファーポールに一任したドンキホーテ・ドフラミンゴの七武海脱退の誤報について抗議しに来た海軍元帥サカズキに対して、
海軍を脱退し黒ひげ海賊団に加担するようになったクザンの一件を出して口論する。
その後、海兵からドフラミンゴがルフィとローによって討伐され、
ドレスローザが崩壊したという報告を受けた。
世界会議編
権力の間にて会議期間中にもかかわらず「君だから時間を取った」と、とある人物と接触。
その人物はある海賊について話に来たようだが、それが誰のことなのかは不明。
王たちによる会議が始まると何故か全員コートを羽織って虚の玉座に向かい始め、
アラバスタ王国のコブラ王およびネフェルタリ家への警戒や、
四皇であるビッグ・マムとカイドウの接触の可能性について言及し、
一度世界の均衡のために大きく掃除する必要があると語った。
そして虚の玉座に到着すると・・・
ワノ国編
第三幕
数多くの事件が発生し、荒れたまま終了した世界会議については呪われているとしつつもそれに関する話は保留とし、
ワノ国で勃発した最悪の世代と四皇による大規模な戦闘について議論。
その際に彼らにとっても伝説とされる悪魔の実について、
その実は何百年も覚醒しなかったこと、
歴史から名前を抹消するためにもう1つの名前が与えられていることを話す。
そして議論の末に、ワノ国鬼ヶ島で行動中のCP‐0のゲルニカに「その実の能力者を今すぐに抹殺しろ」と勅令を下すが、
皮肉にもそれがきっかけで件の実が覚醒してしまった。
鬼ヶ島の戦闘が決着した後は、
恐れていた存在が覚醒を経てこの世に再臨した事実に驚愕し、
四皇のうちビッグ・マムとカイドウの2人が一度に陥落した情報が世界中に広まることによる情勢の不安定化に動揺しながらも、
ゾウが姿を消したという情報を踏まえて、ワノ国が現時点では開国しないことを確認。
生き残ったCP‐0のメンバーのヨセフに「ニコ・ロビンくらいは捕えたんだろうな」と圧力をかけるも、直後に妨害電波で割り込んできた人物に任せることに。
それから7日後。
四皇を倒した3船長の新しい手配書のうち、
ルフィのものからロジャーと同じく「D」を消そうとするも時すでに遅く、
モルガンズの独断によって名前はそのまま且つ新たなる姿の写真で発行され、全世界に広まってしまった。
終幕後
マリージョアで数々の事件を起こしたとされるサボがルルシア王国に潜伏していることを海軍の通信を介して知る。
だが、特に慌てる様子はなくむしろその場に偶然居合わせてしまったサボを「運の無い男」「これも運命」と純粋に哀れむような発言、
表情をした後、海軍の通信部に通信を切るよう指示を出した。
「「ルルシア王国」?」
「――そんな国は……元々…ないではないか…」
エッグヘッド編
大将黄猿が率いる海軍の軍艦の一隻にサターン聖が乗艦しており、
エッグヘッドへと向かっている。
世界会議編の回想にて、荒れたまま終了したとされていた世界会議終幕間際、
面会を求めてきたアラバスタ王国のコブラ王と、
虚の玉座を前にして接触していた経緯が判明。
最初は世界政府の歴史と構造を語る彼の話に耳を傾けるのみだったが、
最初の20人に名を残しつつも、
その生涯に謎が多いネフェルタリ家の女王リリィの詳細や、
彼らにとっては最も触れられたくない事案であろう、
Dの名が持つ意義に関して質問を投げかけられた際は、
前者については「800年も昔にマリージョアを離れた者の動向・行く末など知る由もない」と冷静に返したが、
後者に関しては「なぜ・・・それを聞く?」とコブラ王に戒めるような眼差しを向けつつ、
禁忌に触れようとした動機を問うていた。
また、その直後コブラ王が退出していないにもかかわらず、「花の部屋」にて終始会話を聞いていた謎の人物が虚の玉座の前に姿を現した為、
珍しく動揺する姿を見せた。
そして、件の人物が「歴史の本文の解放がミスではなく、計画的なものだったのではないか?」とする自身の仮説をコブラ王に伝えた直後、それぞれが武器を取り出し・・・
現在の時系列ではサターン聖がエッグヘッドに到着した頃になって、
パンゲア城に残った4人のもとにヨークからの通信が入る。
他のベガパンク諸共殺されそうになっている現状に盛大に文句をつけられたが、
ヨークは「マザーフレイムは自分でも作れる」「製造に必要な『融合炉』がエッグヘッドにしかない」事情を交渉材料として、
とりあえず彼女の要求を受け入れる方向でまとまった。
・・・が、この時その「欲」は集合した麦わらの一味に制圧されており、
しかも通信に使った電伝虫はウソップが用意した普通のものであった。
エッグヘッドの詳報を知らなかったのが仇となり、
会話の中で口にした「マザーフレイムという兵器か何かの存在」「それはベガパンクが作れる事実」「これを『所望されている』誰か=世界の頂点である筈の五老星が敬語を使う相手、即ち五老星より上の存在がいる」最重要機密を、
黒電伝虫で盗聴していた麦わらの一味のみならず、黄猿ら海軍に思いっきり聞かれる大失態をやらかしてしまった。
ちなみにこのコマをよく見ると、マリージョアの4人の背景には「えええええ」、サターン聖の方では「あああああ」等々、困惑と悲鳴のオノマトペが入っており、双方が本気で焦っている胸中がわかる。
マリージョアに居るマーズ聖がエッグヘッドの中では誰が生き残って居るのかを問い質す(これがルフィと五老星の最初のコンタクトである)も、
「怪我人がいる」の情報を得た時点で、これ以上の情報の漏洩を防ごうとしたロビンに通信を切られてしまう。
一方、サターン聖は「『ヨークの身柄』と『パンクレコーズ』、
そして『マザーフレイム製造の融合炉』の3点を最重要目標として守り、
それ以外は失っても良い」と判断。
同じく研究層に閉じ込められて居るルッチから得られた情報により、
エッグヘッドの侵入とフロンティアドームの迎撃システムの突破は、
能力で突破可能な黄猿が行うも、戦桃丸がベガパンクを守っている上、
海軍側がエッグヘッドに攻撃を仕掛けた瞬間に、
戦桃丸の指示で無数の海獣兵器(シービーストウェポン)と50体のパシフィスタマークⅢが軍艦を沈めに掛かり、
海軍側は甚大な被害が予想される事態から、
先ずは最重要目標の1つである『融合炉』の場所をルッチ経由で送られた資料で知る。
黄猿が先陣を切って島に上陸した後は、サターン聖自ら海軍全体の指揮を執り始め、
最終的に「5」の数字が五法に並ぶ魔法陣を介してエッグヘッドに出現。
パシフィスタの指令権を完全に奪いベガパンクたちの前に立ちふさがるが、
そこにくまの記憶を見たボニーの奇襲を受ける。
しかし、サターン聖はそれも「刺されたくなければ避けておるわ!」と一蹴して再生、
サンジ達を抑えつけながらギア5の反動で無力化したルフィの抹殺にかかるも、
反動からルフィが回復しそこに自我を失ったはずのくまが襲来。
混迷極める事態を打破すべく黄猿にバスターコールを命令するも、
ニカを迎えに来たと巨兵海賊団が登場。
さらにマークⅢが再び海軍を攻撃対象に。
そんな中、ベガパンクが仕込んでいたメッセージが全世界に向けて配信開始。
配信を止めるべくサターン聖は4人に思念波で「呼ぶぞ」と呼びかけた瞬間、
サターン聖が出現した時のように黒い稲妻がエッグヘッドに落ちると同時に、
権力の間は無人となり魔法陣だけが残され・・・
本編外
FILM RED
ウタがシャンクスの娘であること、
彼女の思想、ライブが開催されるエレジアに伝わる伝説などから彼女を危険視し、
会場にCP‐0を潜入させるなどして監視。
自身らもライブを中継で見守る。
ちなみに、第2トレーラーではウォーキュリー聖以外のメンバー全員が椅子から立っていたり、ナス寿郎聖が身長212cmのルッチと並んでいた状況などから、
メンバーを(椅子に座っているウォーキュリー聖を除き)身長の高い順番で並べるとピーター聖>マーズ聖>サターン聖>ナス寿郎聖であると判明した。
ODYSSEY
予告映像にて姿が確認できる。
「もっと上」
世界政府は成立初期より、1人の王が独裁を敷かぬよう強く自戒しており、
世界政府最高権力が独任制ではなく五老星による合議制となっているのも、
そのためであるとされている。
だが、海軍元帥のサカズキはドフラミンゴの処遇に関して
「あんたらの・・・もっと上からの指示っちゅう事ですかい」と五老星の上の存在を示唆するかのような発言をしている。
CP‐0の行動に関しても、一任していたとはいえ
「頭ァ飛び越えられたんと違いますか」「天竜人の傀儡に」と、
一連の動きが五老星の思惑を超えたものであったと捉えている。
そして、座ってはならないはずの「虚の玉座」に腰を下ろす謎の人物が世界会議編にて登場。
現段階ではその詳細は不明だが、
世界政府最高権力であるはずの五老星も、この人物の前では従者の如く振る舞っていた。
考察
五老星のモデルとされる人物にはそれぞれ歴史上の偉人の共通点があるが、
それとは別に「彼らの偉業にも共通点があるのではないか?」とも考察される。
それぞれの人物の業績をまとめると以下の様に、
世界政府最高権力である五老星とは正反対に、
皮肉にも自由や平等を求めて活動した人物として知られている。
○ウォーキュリー聖 → ミハイル・ゴルバチョフ:ソ連の自由化・民主化
○ナス寿郎聖 → マハトマ・ガンディー: 非暴力・不服従によるインドの独立
○サターン聖 → カール・マルクスまたはフィデル・カストロ:社会主義の創始者 / 革命によるキューバの社会主義国家への変革
○ピーター聖 → エイブラハム・リンカーン:奴隷解放
○マーズ聖 → 板垣退助:自由民権運動
- 不老不死説
22年前から現在に至るまで誰1人欠けず、
しかも38年前のサターン聖の容姿に一切の変化が見られないことから、
「オペオペの実の能力による不老手術を受けた者たちではないか?」と推測されている。
しかし、ワノ国編においては800年前の過去を伝聞のように語っていた様子から、
界隈でこれまで優勢だった「“空白の100年”から生きている説」は現在は下火になっている。
- 刀
ナス寿郎聖の持っている刀はゾロの三代鬼徹に似ており、現状存在のみが語られている初代鬼徹ではないかという説がある。
- 権力の間の椅子
普段、権力の間で討論している五老星だが、全員が座って話をしている場面は1度もない。
また、作者のミスなのか時々椅子が4人分しか無いシーンがあり、
必ず誰か1人が立った状態になっている。
- 立ち位置について
世界政府最高権力者に位置付けられている五老星ではあるが、
劇中ではオハラに対してバスターコールを発令したシーン以外では、命令を直接下した様子がない。
しかもこのシーンをよく見ると、
クローバー博士を抹殺するよう命じた直後、恐らくウォーキュリー聖と思しき人物が頭を抱え苦悩する様子を見せている。
更にオハラの抹消を「残念だ」と嘆いている様子もある。
オハラの件から時が流れたワノ国編の後、
滅ぶ間際のルルシア王国でサボが革命軍と通信を取っているのを傍受し、
サボの所在を探知した際にもルルシア王国とともにサボが滅ぶ選択を好都合と思わず、
死体を世間に晒せば世界の動乱を抑えきれなくなる事態に歯噛みするのでもなく、
その時ルルシア王国にいる彼を打算も無く純粋に憐れんでいる様子であった。
また、ゴムゴムの実の真名に関する話題が出た際の発言もこれを後押しする。
「ゴムゴムの実はいつの時代も『世界政府』が回収を試みてきたが……決してその手中に収まることはなかった」
「ではなぜ『世界政府』は―――あの実にもう一つの名を与えた!? 歴史からその名前を消すためだろう!?」
彼等自身が世界政府最高権力であるにもかかわらず、世界政府が自分達とは別の勢力であるかのように語っている。
実際に戦線に出たサターン聖の言動から、
「五老星は便宜上世界貴族に位置づけられているだけ=イム直属の別の存在であり、作中世界を統治する『世界政府』の枠組みの上に立って、その枠組みを管理している存在なのでは?」の考察が浮上している。
一方、そのサターン聖に限ればかなり邪悪な内面が浮き彫りになってきているなど、
いささか極端なほどの価値観の違いや二面性らしきものが垣間見られる為、
極論としてはそもそも人間ですらない可能性さえもある。
- 「天竜人の傀儡」
CP-0が動いた事態に対し、サカズキは「五老星が天竜人の傀儡に頭を飛び越えられた」と宣っている。
これでは「五老星の上に位置する」のが「天竜人の傀儡」と受け取れる上、
そもそも彼ら自身天竜人である五老星に対しては不自然な物言いである。
他の見方としてCP-0が「天竜人の傀儡」で五老星を通さず直接指示を下されたとも受け取れるが、それでは作中描写と照らし合わせると疑問が浮かぶ部分がある。
1人失うだけでも手痛い特級のエージェントで構成されたCP-0でも、
ニカについては噂程度にしかゲルニカは認識しておらず、
消失したルルシアに対しても勘ぐるルッチに「探らない方がいい」と釘を刺したステューシーといい、彼らですら触れてはならないタブーが存在している現実が示唆されている。
コブラ王はイムの姿を見るや否や「世界最大の禁忌に触れた」として、己の死を悟り悲観していた。
これらを考慮すると数ある禁忌の中でも最大級の禁忌と思わしきイムが、直接の謁見が許可されないであろうCP-0に直接命令を出すのはあり得るのか?の疑問が出る。
無論、五老星以外にもイムとの直面が許可された人物もいるが、
こちらはこの組織に所属している人員の可能性もあって、CP-0とは根本的に立場違う可能性もある。
その上、ゲルニカは他ならぬ五老星からの命令により、
生存不可能な状況に陥った描写などからも見て取れるように、
CP-0と五老星には絶対的な力関係がある。
そんな彼らが接触を許可されないであろうイムの介入もなしに、
五老星の意向を無視して動くのが可能なのかの疑問も出てくる。
またドフラミンゴの件は彼自身が最悪のカードを持つ相手であり、
政府側としても慎重を期して対応するべき事態にもかかわらず、
五老星の関与が遅れる奇妙な状況でもある。
ルルシア王国を消滅させた際も不本意な雰囲気を醸し出しながらも、
忠実にイムからの指令を実行した姿勢から、
イムの為ならば不本意であれ非情な命令であれ忠実にこなし、
イムの手足として動く彼らがイムも関係しながらも、
ドフラミンゴの件は関与出来なかったと思われるが真相は不明である。
ある意味「海賊」
ワンピースは主人公ルフィを筆頭に海賊がメインで活躍するストーリーだが、
作中の海賊の定義は通常、世界政府に敵対しているとみなされた場合か、
海賊行為をしなくても、世界政府に都合の悪い行動をしたかである。
しかし、ワノ国編ではカイドウが新世代に負けたら世界政府直轄地にしようと迅速に世界政府の軍艦を派遣しており、
曲がりなりにも世界政府に所属しているゲルニカやロブ・ルッチらCP0から「やることが海賊だな」と評されている。
また、天竜人は史実の海賊顔負けな悪行である『先住民一掃大会』
(実質的な国家侵略、大量虐殺行為)を3年に1度犯しているが、
もし五老星に権限の責任があれば現地で先住民ハンティングしていた神の騎士団の剣士と並び、被害国からすれば憎き海賊の頭同然だろう。
そもそも、制度自体憎んでいたスモーカーやイッショウやゼファー(映画オリジナル) からすれば、
王下七武海を合法的に制度化していた時点で、潜在意識の意味でも世界政府とその五老星も海賊だと捉えていたであろう。
(史実でも王下七武海のモデルとなった私掠船を、雇った国は合法、襲われた国は海賊と、互いに罵っていた)スモーカーの「海賊はどこまでも海賊」のイヤミも、
単にクロコダイルだけでなく「それを野放しにしていた世界政府(と五老星)も同類」の意味も込めていたのかもしれない。
これらを踏まえると、改めて世界政府と敵対勢力でありながら、
弱いものイジメはしないタイプだったが、
一般的な「世界政府目線では海賊」の白ひげ海賊団や赤髪海賊団は「こんな世界政府への抑止力」としては、
現実では裏稼業者として忌み嫌われる立場にもかかわらず株価が上がっている。
感想
コブラ王が襲われたのを見て、
彼を助けようと虚の玉座の前に飛び込んできたサボによる攻撃を食らう。
しかしその直後、全員が明らかに人間ではない巨大な何かに変身。
瀕死のコブラ王を担いで逃げようとするサボに襲い掛かるのであった。
シルエットから察するに、恐らく全員が悪魔の実・動物系幻獣種の能力者、
あるいは「〈悪魔〉そのものなのか」と考察されており、
彼らが変身したその光景から『かいじゅうたちのいるところ』を連想した読者も多かった。
そして1094話にてサターン聖が最初にその姿を披露し、
その後の1110話にて残りのメンバーも魔法陣を介して登場したが、
その姿は気高き高貴な存在と言われる天竜人からかけ離れ、
あのルッチでさえ驚きサボが「世界のてっぺんに地獄がある」と断言させた巨大な怪物の姿であった。
以下、変身後の怪物の名称
トップマン・ウォーキュリー聖:封豨(中国に伝わる巨大なイノシシ)
イーザンバロン・V・ナス寿郎聖:馬骨(火事で焼け死に白骨化した馬が化けた妖怪)
ジェイガルシア・サターン聖:牛鬼(毒を吐き牛の頭を持つ妖怪)
シェパード・十・ピーター聖:サンドワーム(砂漠に潜む翼のない竜)
マーカス・マーズ聖:以津真天(「いつまで」と叫びながら飛翔する怪鳥)
- 戦闘能力
基本的に下界に干渉することは無いため、これまでエッグヘッド編までは明確な戦闘描写は見られなかったが、その力の一端が明かされた。
一般の天竜人とは異なり、それぞれが高い戦闘力を誇りゾロがルッチとの戦闘中に他所見をするほどの覇気を感じ、ルッチもそれに納得し、
高い戦闘力を持つジンベエでさえマーズ聖を見て「何ちゅう覇気!!」と言っていることから高水準の覇気(おそらくは覇王色)を扱え、
ウォーキュリー聖に至っては島を揺らす程の覇王色の覇気を使った咆哮を放つなど相当なものである。
またナス寿郎聖はスピードに優れているようであり、並の海兵では目視もままならないようだ。
さらに、サターン聖とウォーキュリー聖はルフィに打ち返された攻撃を喰らうもまったく効いている様子が無く、
さらに燃え盛る炎の中からドリーとブロギーに真っ二つにされたはずのピーター聖が再び出撃。
ルフィは彼らを不死身と言っていることから五老星全員があの異常な再生能力を持っている可能性がある。
読者による考察
五老星の変身についてはまだ謎が多く、明かされている情報は少ない。
しかし、これまでに明かされた情報から、以下のような考察がなされている。
- 変身した後の共通点
五老星が変身した怪物たちは、それぞれ「豚」「馬」「牛」「蟲(蚕、ミールワーム、ミミズなど)」「鳥(鶏、ガチョウ、七面鳥など)」に通ずるものがあり、
全員が「家畜=人間の奴隷」に相当する生物種が、妖怪や怪物化した存在に変化している。
五老星の各メンバーの人間上のモデルが、各々が人権や民衆の自由のために尽力した偉人であると考えると、かなり強烈な皮肉でもある。
尚、家畜が五老星の変身した怪物との共通点だとした場合、「羊」を表す者が居ないが、
これは羊が「神を表す家畜である為、五老星以上の人間が変身するのではないか?」とも見られている。
- モデルとなった怪物・妖怪について
五老星が変身した怪物はサンドワームだけが西洋系の怪物である為、
少々まとまりがないように見えるが、サンドワームはモンゴルのUMAであるモンゴリアンデスワームとも同一視される怪物でもある為、
サンドワームを『モンゴルの怪物』と仮定した場合、
全員が東洋の妖怪・怪物に変身しているとも捉えられる。
また、サンドワームも『デューン/砂の惑星』シリーズでは破壊だけでなく豊穣をもたらす存在としても見なされており、
「蚕」と同様に人類に利益をもたらす部分がある。
ちなみに何に変身したかは明らかになったが、何故か悪魔の実の記述がないためこの姿が悪魔の実によるものかは不明。
読者をいい意味で裏切ってきた(考察界どんでん返しな褒め言葉の意味で)
尾田先生次第では、五老星のメンバーのうち「ヴィーナス」「ジュピター」と予想されていた人物をそれぞれ「V・ナス(寿郎)」「十・ピーター」等々と、斜め上を行く強烈なネーミングで読者を騒然とさせた前例があるように、
能力者と見せかけて「そもそも『悪魔の実の能力者』の定義から外した別次元や別規格」扱いにしている可能性もある。
「原初の悪魔の実」だの「人間外の本体が別にある」だの考察の煩雑さから、
網羅思考で頭を痛めたら公式続報を待つのが最善だろう。
四皇と戦闘力の差は?
原作233話初登場時はシャンクスを恐れていたような発言をしており、
原作433話でもそのシャンクスと接触した白ひげに冷や汗をかいている。
これらをふまえると、初期構想ではそもそも戦闘能力がない設定だった(ただしナス寿郎聖が初登場時から刀を所持していたりサターン聖及びピーター聖に戦いで負った様な傷跡が描かれたりしている辺り可能性は低い)か、
その能力をもってしても四皇の力は脅威であるかのどちらかと思われる。
さらに、ワノ国編終盤ではゲルニカの件でカイドウを怒らせることに難色をぼやいているため、少なくとも「カイドウと戦えばタダでは済まない」と認識している可能性が高い。
エッグヘッド編では凄まじい実力を見せているが、
実際にぶつかったのが四皇最年少のルフィに対してである。
現状ルフィはその再生能力を攻略できていないが、五老星側もルフィに大したダメージを与えられていない(1度サターン聖の念力?を受けているがすぐに反撃している)。
ルフィからすれば制限時間のあるギア5で未知の再生能力を持つ彼らとの戦闘はやりづらいかもしれない。
一方でカイドウ、ビッグ・マムとの戦闘経験があるゾロや白ひげ、ビッグ・マムをよく知るジンベエが驚いていたことから、
彼らの覇気が相当なものであることは間違いない。
またウォーキュリー聖が使用した覇王色の咆哮は、それこそ毒ガス弾を撃ち落としたビッグ・マムやルフィを吹き飛ばしたカイドウと比べても遜色ない描写である。
当然だがこの状況でエッグヘッドに来た時点で、
ルフィら麦わらの一味との戦闘を想定しているだろう。
また彼らはマリージョアで護衛もつけずシャンクスと接触している。
これはシャンクスと戦いになっても5人がかりなら勝てる自信があるからこそという可能性も否定できない。
(神の騎士団の最高司令官を輩出するフィガーランド家の血筋であろう事からシャンクスが彼らから全幅の信頼を得ている可能性もあるが、シャンクス自身は物心付いた頃から海賊として育っている為可能性はそれ程高くはないだろう)
現時点では、5人がかりでなら四皇と対等以上に戦えるが、四皇複数人を同時に敵に回せば分が悪いといったところだろうか。
また黒ひげのヤミヤミの実の能力封じが五老星にも効くかどうかについては、
悪魔の実と見せかけの可能性からして、こちらも公式続報を待ったほうがいい。
因みに新四皇の勢力の一つであるクロスギルドに関しては肝心の社長であるバギーが戦力としては心許ない為、四皇としての実質的な戦力を担うミホークとクロコダイルが何処まで戦えるかにかかっていると思われる。
尚、そんな五老星を以ってしても(攻略の難解さもあって)トットムジカを抑えるのは不可能に近いしらしく、彼が顕現してしまった時点で五老星は世界の存続を諦めてしまっている
(現にトットムジカを抑えるには現実とウタワールドそれぞれに四皇勢力を含む膨大な戦力、および優れた見聞色の覇気の使い手を要した)。