ライフワーク

幻影旅団は野生の火竜という表現

今回は旅団のなかで、私が好きなフィンクスについて、

本編においてわりと出番の多い彼ではありますが、

その行動理念もとい方針は実にシンプル。

“欲しけりゃ殺してでも奪う”を掲げる盗賊の鏡とも言える、

今は亡きウボォーギンに追随するかのごとき盗賊スタイルで動く彼。

ところが本編においてはむしろウボォーギン以上に、

感情的に行動している描写が目立っており、

そういった点からむしろ彼の性格は本来優しいものなのではという考え方も。

腐ってもお前ら流星街の住人だろうが

そもそも感情的過ぎることが災いして、

団長が誘拐された際にはクラピカに電話を切られたりしており、

むしろ彼が原因で危機的状況に陥らなかったことがなかったとは言い難い。

そして彼が持つ優しさに似た感情は、

むしろ優しさとはまた別ベクトルの仲間意識であり、

その性質はどちらかというとゴンが持つ獣の感性に近いとも言えるのだ。

特に彼の人間性が明らかになった話としては蟻編があり、

ザザンの『審美的転生注射(クイーンショット)』によって変貌した流星街の住民が自身の死を望んだ際には「腐ってもお前ら流星街の住人だろうが!」と叱咤激励し、

戦いの果ての死を選ばせるといった後始末を促したシーンは印象的だろう。

またその後、団長を待つセリフを「乙女チクね」とからかわれるなどしており、

微笑ましいが、

これらは優しさというよりも彼が持つ獣の感性をより際立たせる部分とも言えるだろう。

念能力という人格をも破壊しかねない能力を知る彼だからこそ、

それを覆してでも内包する仲間への信頼というのは極めて深い概念であると言えるのだ。

またこれらの潔さは、彼がゴンとキルアへの拘りを捨てた部分にも見受けられる。

パクノダが最後に残した己の想いを含む記憶弾(メモリーボム)を受けたことで、

彼女の心理そのものを受け入れた部分がある彼だが、

彼はそれだけでなくクラピカへの報復すらあっさりと切り捨てている。

これは合理的な判断ではあるが、

私はこの潔さにゴンと通じる獣の感性を感じとるのだ。

人間が持つ恨みとは本来晴れることがない。

それは自分自身で問題を複雑化してしまうのが人間だからだ。

だからこそクラピカは自身の復讐心をより複雑にしていくし、

ゴンはある一点を覗いて本来であれば復讐心を持たなかった。

ある意味で、彼は完成した感性を持ったゴンが至ったかもしれない別の姿なのだ。

念能力【廻天(リッパー・サイクロトロン)】

初めに結論から言ってしまうと、この能力は放出系に当たる能力である。

ネットにおいては「グルグルパンチ」と揶揄されることもあるこの能力だが、

では何故これが放出系なのか。

例のごとくあの本によって特に理由なく【強化系】とされている彼だが、

それは他のシーンを踏まえると少々奇妙なのだ。

では、まず順番にこの能力について解説していこう。

技を発動するまでの過程はシンプル極まりないこの能力。

腕を回した数だけ威力を増すとあるが、ではこの能力とはどういった性質の技なのか。

これは要するに、腕を回転させることを契機として、

これによって自身のAOP、すなわち体外に出せる顕在オーラ量を増幅できるという能力である。

お分かりいただけただろうか。

まずこの時点で、彼は強化系ではないということになるのだ。

何故ならば、単純に練り上げたオーラによって性質を強化するのであれば、

彼が回転によって練り上げるのはオーラと同時に遠心力や拳の威力そのもの。

だが、彼はこの技を放つ前にその動きを止めている。

強化系であるならば、技のモーションとして一つの形にする必要があるにも拘わらずだ。

よって、私は彼が強化系ではないと断言する。

では放出系とする理由であるが、放出系とはどういった能力であるか。

それは、体外へのオーラ放出を得意とする系統である。

つまり彼は、外部へと一時的に顕在化させたオーラを留める技術を持っているのである。

これがどういうことかというと、

いわば“円”によって拡げたオーラを攻撃に転用しているようなもの、

だと思ってもらえばいい。

これが“円”と異なるのは、

“円”は自身のオーラを可能な限り薄く広く広げることによって、

触覚に当たる感覚領域を拡げる技能であるのに対し、

彼は極めて限定的な空間に大量のオーラを圧縮して留めることで、

攻撃的な念領域を構築している部分にあるのだ。

彼が『廻天(リッパー・サイクロトロン)』の制約としているのは何か。

それは、“腕を回転させること”。

これは逆に言えば、“腕を回転させる必要がある”とも言えるのだ。

ここまで言えば、彼の能力の本質が見えてくる。

すなわち彼の能力の本質は、

短時間のみ生成可能な高圧縮されたオーラの回転領域にある。

ではこれを攻撃に用いればどうなるだろうか。

高速で回転する渦巻に、例えば人間の関節を、首を突っ込んだらどうなるだろうか。

答えは単純。

その部位は激しい回転によって捻れ破壊されるのである。

彼が対峙した極めて頑健なキメラアントとの戦闘において、その前哨戦は描かれていない。

というのも、

作者である冨樫氏はあえてそのシーンを省いた可能性が高いからだ。

彼の能力の本質はこの“渦”に相手を巻き込み破壊すること。

だがキメラアントの肉体にはそれも通用せず、それなりに得意な打撃もほぼ通用しない。

これによって相手に攻撃手段がもはや残されていないと勘違いしたあのキメラアントは、

むざむざ相手の攻撃を無防備に受けるという、

後から見れば間抜けにしか見えない選択肢を選んでしまったのだ。

何故なら、彼はフィンクスの技を全て受け切ったと勘違いしているのだから。

さらに面白いのは、彼はそれを複雑な知識を必要とする空間系としては認識していないであろうという点である。

あくまで、自分のオーラをその場に溜めておけるといった程度の認識だろう。

そして彼の認識はそれで正解であり、

だからこそ短時間とはいえ条件を加えるだけで、

強力なオーラを極限られた範囲に渦巻かせるという能力が発動できるのだ。

これと同じように認識によって能力を拡大している可能性が高い能力者としては、

同じく幻影旅団のシズクがそうである可能性が高いだろう。

彼女自身が持つ忘れっぽいという特性も、

能力にある吸い込んだ者がどこかへ行ってしまう、

という作用とリンクしている可能性すらある。

これは自らの記憶を失うことを無意識の制約とすることで、

あの能力を発動している可能性があるからだ。

幻影旅団はなぜ蟻と戦ったのか

王が誕生し、護衛軍を引き連れ巣から消える
致命傷を負った女王が死ぬ(生殖能力がなくなる)
護衛軍以下、すなわち師団長とその兵士たちは自由になる
王の真似事(巣を脱出し野に出て国を作り自らの種をばらまく)をしようとする蟻が続出
その中の一匹、師団長ザザン率いる蟻軍団が流星街に巣食い、流星街の住人達を次々と異形の姿へ変え自らの兵士にしていた
死人が300人を超え、駆除も不可能な状況に
流星街出身の幻影旅団が立ち上がり、駆除に乗り出す という流れ

 

そして、それぞれ別々の敵と戦い、

カルトは紙を自在に操り勝利、

シズクはデメちゃんでパイク(クモのやつ)の体中の血を吸い取り勝利、

シャルナークは自分にアンテナを刺して、

自分をオート操作にして爆発的な力を出して勝利、

フィンクスは「リッパーサイクロトロン」という、

自分の腕を回した数だけ力が強くなる能力で勝利、

ボノレノフは自分の体にあいている穴から音を出して戦い、

とどめに「木星」を出して相手を押しつぶして勝利、

フェイタンは女王ザザンとの激しい攻防の末自分がダメージを受けたダメージを返す、

という「許されざるもの」・「太陽にやかれて」という能力で燃やし尽くして、

勝利しました。

火竜の縄張りに、蟻の一派が巣を作っては危険

この危険な縄張りに入団していたのが、

謎の奇術師ヒソカです。

ヒソカは変化系の念能力者。

伸縮自在の愛(バンジーガム)

自身のオーラをガム(粘着性)とゴム(弾性)両方の性質を持つものに変化させる。

よく伸び、すばやく縮む。

付けるも剥がすもヒソカ次第。

ただしヒソカの体から離して使用した場合は、10m以上伸びるとちぎれてしまう。

薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)

自身のオーラを様々な質感に変化させ、平面上を覆い隠す能力。

オーラを様々な質感に変えて、物体の表面を覆い再現する変化系の能力。

再現できる質感は染料、鉱物、繊維、植物、動物の皮膚など軽く千を超え、文字を表示させる事もできるなど、応用範囲は幅広い。

 

能力面は上記です。

一見弱そうに思えますが、ヒソカの頭脳と能力がうまい具合に組み合わさり、

作中での強キャラの地位を不動のものにしています。

またヒソカといえば、

作中に出てくるゴレイヌから「なんなんだこの変態ヤローは」と言われるほどの、

変態キャラです。

団長 No.0 クロロ・ルシルフ

盗賊の極意(スキルハンター) 具現化した本に他人の能力を封じ込め、自在に引き出し使える能力。

盗まれた側はその能力を使えなくなる(同時に2つ以上の能力を使用することはできない)

栞のテーマ(ダブルフェイス) 盗賊の極意(スキルハンター)に栞を挟むことで挟んだページを固定、本を閉じていても能力使用可能。
番の破壊者(サンアンドムーン) 太陽の刻印と月の刻印を押し、刻印が合わさると爆発。
転校生(コンバートハンズ) 相手と自分を入れ替える。
栞のテーマ(ダブルフェイス) 本を閉じても能力を使える。
人間の証明(オーダースタンプ) 人形(生物でないもの)を操作できる。
携帯する他人の運命(ブラックボイス) アンテナを刺せば、思うままに操作できる。つまり刺されば終わり。
神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク) コピーを作成できる。両手を使う。

 

ヒソカは天空闘技場でクロロと戦い、敗北しました。

しかし、死後に強まる念により復活し幻影旅団に宣戦布告します。

幻影旅団の団員、シャルナークとコルトピを殺害します。

その事実を知った団員たちは激怒し、旅団全員でヒソカを狩ることを決意します。

そして舞台はカキン王族の王位継承編の裏側です。

幻影旅団の生き残った団員と、新しく旅団に加入したイルミ・ゾルディックも含め、

幻影旅団全員とヒソカの戦いが始まろうとしています。

実は幻影旅団はクルタ族を虐殺していなかった説

実は旅団は仇じゃありませんでした、

ウボォーはどっかで見ただけなのを適当なこと言って勘違いされてました、

黒幕は上位王子達で、しかもチート予知で殺されました。

うわークラピカの人生なんだったんだ、

いや旅団への殺意があったから、

ゴン、レオリオ、キルアに出会えたんだ。

最期に念の教室を開業して、後々にまで残る人的遺産を残せたんだ、

というお話になるだろうと思う。

しかし、旅団の仕業じゃなかったら(強力な制約で寿命縮めたり)クラピカが人生無駄にしすぎてて気の毒だ。

でも富樫先生ならそういうことしそうだなと薄々思ってる。

BW編でも書かれている通り、

マフィアは表の組織(国家、国軍)の戦力には「絶対に勝てない」って下りで、

調子に乗って国宝を盗もうとしている幻影旅団には、

本当に背負いきれないしっぺ返しが来るはず。

つまり、プライドなく不法行為するマフィアは滅びても離散するだけだけど、

世の中の表にある幻影旅団より遥かに巨大な国家という組織に喧嘩を売ってしまった場合、

盗賊ごときに舐められたら国家の尊厳そのものが終わるわけで、

無法的にあらゆる手を使ってハントを行う大義名分が出来てしまう訳。

軽ければ国営マフィアから総狙い、

見過ごせない程度なら有り余る金を積んでゾルディックによる暗殺、

最悪の場合は流星街に貧者の薔薇が落ちる。

最終的には幻影旅団を超えて、

流星街全体を滅ぼす国家規模の攻撃につながり、そうなっても誰も同情しないだろう。

自分達が「危険な異常者の住む地域」とアピールし、

取引と引き換えに護るマフィアもいない、

慈善組織も支援しない、

そんな恐ろしい場所に変えてしまったのはクロロ自身なのだから。

クロロは裏世界のバランスを均したかったのかもしれない

パイロの頭蓋画像がアップされていたのは、

旅団の用意したダークウェブかもしれない。

「クラピカの回想の少年」

「ツェリードニヒの背後の頭部」

「ツェリードニヒの守護霊獣の頭部」という描写だけでも、

十分に物語として繋がると思えます。

回想の少年は(それが映画等のクルタ族に関するストーリーと関係が無かろうとも)

クラピカと何らかの繋がりがあるはずですし、

頭部の配置からしてあれがクルタ族の物であり、

それをツェリードニヒが非常に気に入っていると考えられます。

私としては、コルトピのページが消えたのに気付いたクロロからの電話が間に合わず、

ブラックボイスはヒソカ級に襲われでもしない限り、

必要ないから携帯電話は返さなくてもいいって判断したクロロの無念の表情、

このクロロの顔が印象に残りました。